「He has skeletons in the closet.」(彼はクローゼットの中に、骸骨を持っている。)なんて言ったら、連続殺人犯かと思いそうな物騒なイディオムですが、実際に骸骨をクローゼットに隠しているのではなく、「彼には、後ろめたい秘密がある。」という意味です。
宝くじが当たったけれど、集られるのが嫌だから隠しているとか、家族や友人に、何か良いことをして上げて、気を使わせたくないから隠している様なことはこう言いません。同じ宝くじが当たった例でも、数人でお金を出し合って買って、自分だけが番号を知っていて、当たったのに隠して独り占めしたことを秘密にしているなら、skeletons in the closetになります。
話は逸れますが、もし本当に連続殺人犯が、被害者の骸骨をクローゼットに隠していたなら、何と言ったら良いでしょうか?その場合はこのまま「He has skeletons in the closet.」と言って、「文字通りに」という意味の副詞literallyを後ろに付けたら良いです。「CSIマイアミ」の、ホラシオ・ケインが言いそうな台詞ですが。
他にも、実際にイディオムや格言の通りのことを言いたい時に、literallyを憶えておくと便利です。例えば、隣人が園芸が得意な人で、近所中で一番芝生が青々としているとか(参考記事:隣の芝生)、ホリデーで親戚が集まって、数人がキッチンで料理しているけれど、やり方で揉めているとか(参考記事:船頭多くして)の場合、「The grass is greener, literally.」(実際に芝生が青い。)、「Too many chefs in the kitchen, literally.」(実際に、キッチンにシェフが多すぎる)と言えます。
単に「teach ~~ a lesson」だとイディオムですが、lesson前に形容詞が付くと、イディオムではなくなります。例えばteach ~~ a life lessonなら「人生の教訓を教える」、teach ~~ a valuable lessonなら「貴重な教訓を教える」と、文字通りの意味で、「痛い目に遭わせる」というニュアンスはなくなります。
本題から逸れますが、「Sorta you isn’t you.」(あなたの様なは、あなたではない。)というキャッチフレーズが使われています。sortaは、「~~の様な」という意味のsort ofの口語表現です。同じ意味の表現にkindaというのがあります。これはkind ofの口語表現です。「~~の様な」と言いたい時に、このどちらかを使うか、「kinda, sorta 」 と言う事もできます。両方言う場合は、必ずkindaが先で、逆に言う事はありません。
本題の「思い知らせる」に戻ります。面接にやって来た両親が「あなたはクレイグ先生ではないですよね。」と言うと、強面の男性が「俺はクレイグ先生の様なものだ。どちらも35歳から45歳だし、どちらも自動車保険料を節約したいし、」と言って、「We’re both really good at teaching people a lesson. 」と言っています。これは、lessonには、日本語の「レッスン」と同じ意味もあるので、学校の先生のクレイグ先生が「レッスンを教える」のと、この強面の男性が「思い知らせる」のを引っかけたジョークです。同じ「レッスンを教える」でも全然意味が違うのに、同じにされてしまって保険料が同じなのはおかしいだろうというのが、コマーシャルの主旨です。
実はこれは、「Sorta you isn’t you.」のキャッチフレーズを使った、パート2のコマーシャルです。パート1はリンジー・ローハンが出演し、スーパーボウルの中継中に放送されました。こちらも英語字幕が出ます。